不肖、僕がLINEスタンプを作った結果【後編】
もう一ヶ月以上も前の話なので、覚えてくれている人もいないと思うが、以前僕がLINEスタンプを作って審査に出した件について書いた。
後編に続く、としておきながら、その後まったく本件について触れなかったのは、その後も僕とLINE運営との熾烈な戦いが続いていたからである。
それがやっと終戦を迎えたので、その顛末について書きたいと思う。
【前回までのお話】
只の社労士にすぎない主人公『僕』は、オリジナルLINEスタンプを作って販売することで、あわよくば月一でハーゲンダッツを買える程度に儲けることが出来るかもしれないという妄想に囚われる。
欲望という名の暴走列車に乗り込んでしまった『僕』のハーゲンダッツへの渇望はとどまることを知らず、遂にオリジナルスタンプを仕上げ、LINEに審査依頼をするのだが。。。。
審査依頼をして、1週間と少し経った頃だろうか、LINEから一通のメールが届いた。
【スタンプがリジェクトされました】
おぉ。。。これが噂に聞くリジェクトと言うやつか。
そうなのだ、LINEクリエイターズスタンプは誰でも参加可能だが、LINEが定めた規約に違反しているものは容赦なく『リジェクト』といって、突き返されてしまうのだ。
僕が申請したスタンプの40個の図案うち、実に9個もの図案が『規約違反』ということで突き返されてしまった。
まず一つ目はこの図案。
リジェクトの理由。
【権利の所在が明確でないもの】
おそらく花札の意匠が問題なのだろう。ただ、花札の意匠なんていうのは、日本に古くからあるモノであり、著作権もへったくれもないと思う。
任天堂の花札をトレースしたというならともかく、この図案については、自分でフリーハンドで書いたものなので、特に問題ないと思うのだが。。。
だが、こんなところで『佐野ってる』などと、あらぬ疑惑をかけられている暇はない。
デザイナーとしてのプライドなどハナから持ち合わせない只の社労士である僕は、すぐさま謝罪&修正である。
花札のクールさなど、みじんも感じさせない、小さなお子様でも安心の、ほのぼの路線へ転向だ!
今にも、小さい秋みつけた♪とダークダックスの歌声が聴こえてきそうである。
次にリジェクトされたのはこの図案だ。
リジェクトの理由。
【過度に不快、または粗野なもの】
いや、ウ○コがリジェクトされるって言うことは知ってましたよ。でもこれはフンじゃないですか!可愛い鹿のフンじゃないですか!!
奈良だと、名物のお菓子にもなっている『鹿のフン』
あの大女優吉永小百合も『奈良の春日野』で歌っている『鹿のフン』
これを不快って言わはるんですか、LINEさんよぉ!
きっとLINEの審査担当の人は、遠足で奈良の若草山に来た際、おやつのチョコボールを落としてしまい、間違えて鹿のフンを拾ってしまったトラウマがあるに違いない。奈良あるあるだ。
でなければ、鹿のフンを『過度に不快』なんて言うはずがない!ちくしょぉ、バカやろう!!
しかし。。。ハーゲンダッツの為に非情なヒットマンと化した僕は、怒りをぐっと堪えて直ぐさま図案を修正した。
それがこれだ。
どうだ。これなら、会いたくて会いたくて震えている、ただの鹿にしか見えまい。
ダッツの為なら僕は、手段を選ばないのだ。
さて一番大きな問題となったのは、この図案だ。
リジェクトの理由。
【宗教、文化、民族性、国民性を攻撃し、または特に不快感を与えるもの】
基本的にお坊さんや、仏像などは全てNGらしい。
少し前であれば、販売国の設定を日本だけにすればOKという話もあったのだが、今は問答無用でNGのようだ。
くっ!!ただでさえ資源が少ない奈良において、鹿のフンはおろか、『大仏』まで使うことが出来ないとは。。。
これは完全に奈良を殺しに来てるでぇ。
きっとLINEの運営は、修学旅行で訪れた奈良で、他校のヤンキーグループに絡まれ、お土産用にと靴下の中に隠していたお小遣いまでカツアゲされたトラウマがあるに違いない!どちくしょう!!
ただ、ハーゲンダッツの為に感情のないマシーンと化した僕は、眉一つ動かさず直ぐさま図案を変更した。
それがこれだ。
大仏あらため、パンチパーマで福耳のただのおっさんである。
これなら宗教的な問題に発展することはあるまい。
ダッツの為なら僕は、悪魔に魂すら売るのだ。
その他の『大仏』モチーフのスタンプも全てNGであったが、同様にただのおっさん路線に変更し、再申請。これで文句あるまい。
だが、しかし。。。しかしである。
なんと、再びLINEから悪魔のリジェクトメールが。
修正した大仏あらため、パンチのおっさんか、おばさんかもうよくわからないキャラクターでさえ、宗教的という理由で再び拒絶されてしまったのだ!!
いやいや、LINEさんよぉ、こいつを大仏って言うのはさすがに、言いがかりレベルやでぇ。
「ちょっとLINE会長のとこ行ってくるわ。オイ、ドスと紐持ってこい!!」
と、ビートたけしよろしく若い衆を引き連れてLINEに殴り込みをかける妄想をひとしきり楽しんだ後、速攻お得意の泣き寝入りである。
LINE様のような大企業に、僕のようなチンケな虫けらが喧嘩を売ってメリットが有る訳がない。
僕はハーゲンダッツのためなら、泣き寝入りの世界大会にだって出場出来るほどの泣き寝入リストなのだ!
というわけで、大仏のキャラクターはそれぞれ『はにわ』と『聖徳太子』に姿を変えた。
さあ、これで文句はあるまい!と高を括っていたのだが、その後1週間経っても、2週間経ってもLINEからは何の連絡もない。。。
ああ。。やはり再申請のときに、「まあ、一応修正しましたけど、前回のパンチで福耳のおっさんですら大仏に見えるなんて、ただの言いがかりにしか思いませんけどね!!」
と嫌みなメッセージを送った罰なのだろう。
LINE様という巨大な組織に歯向かった己の愚かさを悔いながら、爪の先をじっと見つめながら3週間が経過した頃、やっとLINE様のお許しが出たのか、一通のメッセージが届いた。
しかし、そこに書かれていたのは。。。
【スタンプがリジェクトされました】
あまりの絶望でリジェクトの理由すらもはや覚えていないが、とにかく次は『聖徳太子』が駄目らしい。
ストアには聖徳太子や戦国武将などのスタンプが既に沢山販売されているにもかかわらず、「だが、テメーは駄目だ!」ということだ。
もはや反抗する気力もなくし、過去にLINEスタンプを作って申請したという記憶だけをうっすらと持った只の肉塊と化した僕は、もうスタンプなどどうでもよくなっていた。
「つーか、もう、ちょっと寒いし、ガリガリ君どころか、正直ハーゲンダッツすらそんなに欲しくねえwww」
と、このまま放置しようかとも思ったのだが、頭の片隅にわずかに残る「スタンプを販売しなければ」という謎の使命感と記憶だけを頼りに、
「えーい!こうなったら聖徳太子も全部はにわにしちゃえ〜!うわっ、超テキトー♡」
と鼻歌できよしのズンドコ節を歌いながらのラストチャレンジ。
とまあ、そんなこんなで、何とかLINEの承認を貰うことが出来、販売にこぎ着けることが出来た『お鹿様スタンプ』。
お金が有り余って、毎晩、電球の代わりに札束燃やしてるよ!って方は買って頂けると嬉しいです。そうすると僕がLINEから
『ほら、拾え!!』
と10円玉を3枚ほど投げつけてもらえます。
↓スタンプはこんなのです。
https://store.line.me/stickershop/product/1194017/ja
何はともあれ、前回および今回と、時事ネタでも何でもない、ただのステマの馬鹿話にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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