不肖、僕がLINEスタンプを作った結果【前編】
LINEクリエイターズスタンプ。
ご存知の通り、ただの素人でもLINEスタンプを作り、一般に販売できる画期的なシステムである。
昨年の春から運用が開始されたこの制度であるが、開始当初は、スタンプの売り上げだけで数千万円の副収入も夢じゃない!とマスコミなどで報道され、実際に巨万の富を得たクリエイターも数多く存在した。
だが、銭の匂いのするところ、多くの人が集まってくるのは必然であり、開始から1年以上経過した現在では、クリエイターズスタンプのストアで販売されているスタンプの数は10万個以上にもおよぶ。
結果、月数百万円などという利益を上げているのは、ほんの一握りのクリエイターだけであり、他の大多数は、月数十円から数百円稼げれば御の字というのが現状である。
ただ、個人的にこの春先にペンタブを購入したこともあり、儲けられないのはわかっているが、ちょっとLINEスタンプでも作ってみようかと思い立った。
いや、全く下心がなかったかといえば嘘になる。
月数十円でもガリガリ君一本買えるくらい利益が出るんなら御の字やんけ!
いや。。。うまく行けば『リッチ』の方に手が届くかもしれない!
いやいや、さらに奇跡的にうまく行けば、何処かにあるユートピアで富裕層が食していると言われる、伝説の『ハーゲンダッツ』。そう『ダッツ様』を買えるぐらいに儲けられるかもしれない!
と、目をドルマークにしながらタブレットの上にペンを走らせていたのは僕だ。
しかし。。。LINEスタンプを作るには40種類ものパターンの図案を作成する必要があり、数十個まで作成したところで、やっぱギブ。
そのまま放置と相成った。
また、スタンプの申請から承認まで半年以上かかるという噂もあり、
「あー無理無理。ダッツ様なんて結局、俺には手の届かない存在なのさ。フッ」
とニヒルな笑いを自虐的に浮かべながら、ダッツ様の味を想像しつつ、冷凍庫の駄氷を口に含んで暑い夏をやり過ごそうとしていたのだった。
しかし、そんな7月下旬。LINEスタンプの審査体制が大きく改善され、なんと平均5日で審査が終了するようになったというニュースが飛び込んできた。
まさに寝耳に水。氷食ってる場合じゃねぇ!!である。
そんなこんなで、口に含んだ駄氷をブッと吐き出し、再び目を$にしながら、盆の休みを利用してなんとか一気に40個仕上げきった。
それがこの『奈良の国王 お鹿様スタンプ』である。
ご当地ゆるキャラ、シュール系、方言、ネタ系。
スタンプの売り上げに重要と言われる要素を、なんのヒネリもなく、躊躇なく盛り込んだ『安直安直アンド安直』の産物であるスタンプを、僕は遂に仕上げきったのである。
僕は、ダッツ様の為には、手段を選ばない非道な男にもなれるのである。
そして、ダッツ様を標的とするゴルゴと化した僕は、劇画調の鋭い視線をパソコンの画面に向けながら、LINEに完成したスタンプの審査を依頼した。
そう、そのときの僕はまだ何も知らなかったのである。
この後起こる、リジェクトの悲劇を。。。。
後編に続く
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