社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

12月から職場でのストレスチェックが義務化

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さて、社労士という仕事に関係のない話ばかり書いているこのコラムだが、たまには社労士らしい記事も書いてみる。

ご存知の方のほうが少ないのでは?と思うが、実は来月12月より、職場でのストレスチェック検査がヌルっと義務化されるのである。

これは、仕事にストレスや悩みを抱えている労働者の割合が増加傾向にあることを受け、1年に1回、医師や保険師などの専門家に依頼して、会社が従業員のストレス度をチェックするというもの。また、ストレス度が高いと判断された従業員について、本人が希望する場合は、医師の診断を受けさせ、必要に応じて職場の変更や労働時間の変更を行う必要がある。

従業員数が50人未満の事業場についてはあくまで『努力義務』だが、それ以上の従業員を抱える企業については、『義務』である。

 

ストレスチェックの具体的な実施方法

具体的なストレスチェックの流れは、次のようになる。

①厚生労働省などが配布しているアンケート形式の質問票を全従業員(契約期間が1年未満の有期契約労働者や、労働時間が通常労働者の4分の3未満の短時間労働者は対象外)に配布し、記入してもらう。

②質問票を回収し、医師や保険師などのストレスチェック実施者が回答を確認し、ストレス度をチェックする。そして、その結果を実施者が直接本人に通知する。注意しなければいけないのは、この結果は企業には直接返ってこず、企業が結果を入手するには、従業員本人の同意が必要になるということである。

③高ストレスと診断された従業員が希望する場合、医師による直接面接を実施する。

④企業は、面談を実施した医師より意見を聴き、必要に応じて職場の変更や、労働時間の変更を行う。

 

 

中小企業にとって、さらなる負担になることは間違いない

まあ、実際の内容としては、定期健康診断のおまけのようなイメージだが、目に見えない心の健康のことだけに、厚生労働省が推奨する57項目の質問で一体どれだけ正確にストレスが測れるのか疑問が残る。

また、検査の実施についても、従業員一人当たり数百円から数千円の費用が新たに必要となり、企業にとっては頭の痛い問題である。

しかも、ストレスチェクの義務化について、現在、どれだけの企業がきちんと理解し、準備できているのかというと、マイナンバーと同じく、見切り発車で強引に進められている感は否めない。

どうも、近頃の国策や厚生労働省は、自分たちのブラック企業っぷりや、不祥事は棚に上げて、中小企業の現状を無視した強引な施策を押し進めすぎている気がする。

『白河の清きに魚の住みかねて 元の濁りの田沼恋しき』

ではないが、あまりに無理な締め付けや、義務を押し付け過すぎると、日本の中小企業がその負荷に耐えきれず、バタバタと倒産してしまう危険性がある。

そうなると結局、景気の悪化を招き失業者が増加して、結果として今よりもさらに酷いブラック企業を生み出すことだろう。

 

おっと、こんなところで、あまりお国の批判してしまうと、今後どんな圧力がかかるかわからないので、ここまでにしておこう。

おや、誰か来たようです。

 

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