「僕だけがいない街」が酷すぎる件
「僕だけがいない街」という漫画をご存知だろうか。
『このマンガがすごい!2014』オトコ編第15位。『マンガ大賞2014』第2位にも輝いたこのマンガ。
巷では「読み出したらとまらない!」「面白すぎる!」と話題になっているマンガである。
また、著者である三部けい氏が、昔、荒木飛呂彦先生のアシスタントをしていた縁から、その2巻に荒木先生による推薦文が寄せらているのだが、その文が「まったく推薦していない」ということで、ちょっとした話題にもなっていた。
その推薦文とはこうだ。
「三部さん、JOJOの三部を手伝ってくれてありがとう。なつかしいね。」
。。。年賀状の脇に書かれているメッセージかな?
さすが、荒木先生!!俺達に出来ないことを平然とやってのけるッ。 そこにシビれる。 あこがれるゥ。
と、まあそんなこんなで、記憶の片隅にはあったのだが、書店などで見かけても、失礼ながら、そのカバーを見ただけでは全くそそられなかった。
可愛いタッチの絵で、少年や、少女が描かれているカバーを一瞥しただけで、
「あー。よくあるヌルいヒューマンストーリーものか。」
と勝手に思い込み、スルーを決め込んでいたのだ。
だが、先日ラジオで伊集院光さんが、「このマンガ、すごく面白い」と話されていたのを聞いて、昨日、書店に仕事用の資料を探しにいったついでに、軽い気持ちで1巻を購入してみた。
これが間違いだった。
昼食休憩がてら、事務所でペラペラと購入してきた1巻をめくり始めたのだが、いつのまにかどっぶりハマり、あっと言う間に読み切ってしまった。
「やばい。。。続きが読みたい。。。続きが。。。」
直近で仕上げなければいけない仕事があるにもかかわらず、僕は海で漂流している遭難者が、その乾きに堪え兼ねて海の水を飲んでしまうがごとく、書店に再び直行し、現時点で刊行されている6巻まで全てを購入してしまった。
。。。お察しの通り、その後は仕事どころではない。
止められないのだ。
ロマンティックなら止められるかも知れないが、「僕街」は止められないのだ。
2巻を読み終えると3巻、3巻を読み終えると4巻、といった具合に結局6巻までを一気に読み干し、気がつけば夜である。
おかげで本日は、休日返上で昨日出来なかった仕事をするはめになってしまった。
フッ、酷すぎるぜ「僕街」。。。
ネタバレにならない程度に内容を説明すると、主人公はアラサーの売れない漫画家である。また、この主人公はある特殊能力を持っている。
それは、自分の周りで、直後に起こる「事件、事故」などの悪いことの「原因」が取り除かれるまで、その悪いことが起こる直前の場面になんどもタイムスリップしてしまうというもの。
しかし、正義のヒーローになりたい訳でもない主人公にとっては、自分の意志とは無関係に発動するこの能力は、厄介なものでしかなく、不満を抱えながら日々の生活を過ごしていた。
ある日、母親との買い物中に、またこの能力が発動するのだが、主人公はその「原因」がわからず何度もタイムスリップを繰り返し、困惑する。しかし、母親がその「原因」に気づいたことで、直後に起こるはずであった「悲劇」は回避され、主人公はタイムスリップのループから抜け出すことが出来る。
しかし、目撃者である母親は、その「原因」である犯人に証拠隠滅のため、後日殺害されてしまい、第一発見者である主人公が容疑者とされてしまう。
真犯人を追いかける主人公が、警察に捕まりそうになった瞬間、今までにない長期間のタイムスリップが発生し、なんと主人公は小学生時代にまで戻ってしまう。
それは、主人公が心の隅に固く閉じ込めていた過去の陰惨な事件が起こる直前であった。
主人公は、タイムスリップした時代で、過去に自分が助けられなかった仲間たちを救うことを決意する。
また、過去の事件の真犯人と、母親殺害の犯人が同一人物であることが判明し。。。
とまあ、簡単にいうとこんな話なのだが、とにかくその描写と話の進め方がうまい。
最初のほうは、探偵小説でいうところの「フーダニット(誰が真犯人か?)」ということが一番のテーマなのかな?、と思い読み進めるのだが、後半になるにつれ、作者の狙いはそこではないことに気づく。
むしろ、真犯人が判明してからのストーリーこそが、作者が本当に描きたかった内容なのだろう。よく出来たミステリ漫画が、『傑作』へと昇華するのもこの瞬間である。
とにかく続きが読みたくて仕方がないのだが、月刊誌連載ということで、7巻の発売は、もう半年も待たなくてはならない。。。
酷すぎる。。。やはり読むべきではなかった。
あと、来年にはアニメ化と映画化も予定されているということだが、こればっかりは本当の意味で「酷すぎる。。。」とならないことを切に願う。
僕だけがいない街(1)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース)
- 作者: 三部けい
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/05/18
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