社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

税理士の懲戒がこの10年で3倍に。士業を生き抜くためには

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今朝の日経新聞に興味深い記事があった。

「税理士懲戒10年で3倍」

ここ数年で、脱税を指南したり、違法な名義貸しなどにより懲戒処分を受ける税理士が急増しているとのこと。

背景には、税理士登録者数が増え、顧客獲得競争が激化したことがあるようだ。

また、記事では競争激化により、顧問料の値下げ合戦に悩む税理士の現状が述べられている。

 

これは、税理士に限らず、弁護士や我々社労士業界でも同様だ。

ただ、

「値下げ競争により、これ以上顧問料が安くなると、とてもやっていけない。」

と記事の中で嘆く、都内で個人事業所を開く30代の男性税理士(本当に実在する人物なのかどうかは怪しいが)のような人は、今後、新規参入が増えようが増えまいが、この先長くはないだろう。

顧問料を下げないと客が取れないということは、つまり、その人の仕事にそれだけの価値しか無いということである。他の誰でも出来る仕事しか出来なければ、客はおのずと値段の安い方に流れていく。

結局、士業という業界が今までどれだけ、既得権益でぬくぬくと食べて来たかということだ。

「先生」などと呼ばれ、いい気になって、士業がサービス業であるということを認識出来ていない「先生」にとって、今後、ますます厳しい時代となるだろう。

弁護士や税理士などの「難関資格」を取りさえすれば、一生安泰などという時代は、とうの昔に終わっている。

「資格を取る」までより、「資格を取ってから」の方が、何倍も厳しく、努力が必要なのだ。

お金を稼ぐためには、他の人間にマネの出来ない仕事やスキルをどれだけ持ち、顧客にどれだけ上手くアピール出来るのかが重要なのだ。

我々の仕事は、通り一遍の法律に沿ったやり方だけでは、顧客をつかむことは出来ない。そんなものは「資格」を持っている人間であれば誰でも出来るし、ネットで少し検索すれば、情報はいくらでも溢れているからだ。

「グレー」な案件をどれだけ「白く」出来るのかが腕の見せ所なのである。

勘違いしないで頂きたいのは、「真っ黒」なものを「白く」見せかけることとは全く別物ということである。

グレーを白くするためには、非常に高度な専門知識と駆け引きを要する。少しでも法に触れそうな部分は全て指摘、改善し、あくまでも『合法』でありながら、企業と従業員にとっての「ベストアンサー」を提示しなければならないからだ。

一方、「真っ黒」なものを「白く」するには、何の知識も必要としない。顧問先や自分に降り掛かるリスクを考えない、向こう見ずな「犯罪者」になる覚悟さえあれば誰でも出来る。

例えるならば、今ではもう食べられないが、牛肉のユッケの調理である。

生肉を提供するためには、外側の痛んだ部分をすべてカットする必要がある。しかも店が利益を出すためには、カットする量はギリギリに抑える必要がある。これには、長年の経験と技術を要する。

一方、危険な部分のカットもせず、「安全ですよー」と嘘をついて顧客に提供するのには、なんら技術も必要としない。

違法行為を行う一部の士業のために、ユッケと同じく、士業全体の信頼が損なわれることだけはあってはならない。

 

こういったことは、何も我々士業に関わらず、全ての仕事で言えることだろう。

サラリーマンであっても、他の誰でも出来る仕事しか出来なければ、不景気になれば、その仕事は、より賃金の安いバイトや、海外の人々に奪われる。

美容室や飲食店であっても、他店と同じサービスしか提供出来なければ、小さな店は、大手チェーン店に価格競争で勝つことは、まず不可能である。

また、仕事がないから、お客が来ないからといって、違法なことに手を染めれば、東芝の『チャレンジ』ではないが、必ずどこかでその報いを受ける。

 

しかし逆に言うと、どれだけ高い価格でも、それに見合ったサービスがきちんと提供出来ていれば、顧客は向こうからやって来てくれると言うことである。

結局、自分の強みをきちんと理解し、それをどれだけ上手くアピール出来るかが重要なのである。それが出来ていれば、「新規参入」などに怯えることもない。

 

と、さんざん偉そうなことを書いてしまったが、

「じゃあ、お前はどれだけ、それが出来てるんだ?」

と聞かれると、耳の先まで真っ赤にならざるを得ない。

僕自身もまだまだ「もっと頑張りましょう」である。

 

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