『赤ずきんちゃんは嘘!?』オオカミを再び日本へ
「赤ずきんちゃんは嘘デース!!」
目の前にあらわれた外人さんに、熱い瞳で突然こう訴えられかけたら、あなたならどうするだろうか。
「え。。。!?あ、赤ずきん?あの病気のおばあちゃんにパンとワインを届けるってやつ?」
「ソウデース!!赤ずきんちゃんは嘘ナノデース!!」
「いや、嘘っていうか、童話ですもんね。。。狼に食べられてしまうけど、最後は狩人に狼のお腹から出してもらって助かるっていう。。。」
「ソレが嘘ナノデース!!!」
外人さんのあまりの迫力に、思考停止状態に陥っているあなたの手に、外人さんは何かを握らせて、「ソウイウコトなので、ヨロシクー!」と去っていった。
残されたあなたの手には
【赤ずきんちゃんはウソ】
と書かれたワッペンが握られていた。。。
オオカミは本当は良い奴?
日本オオカミ協会が6月8日に埼玉県で開いた『オオカミシンポジウム2015』には満員の300人がつめかけ、オオカミの生態や、日本でのオオカミ復活について、専門家や一般の参加者が熱く語り合ったとのこと。
これは一体どういうシンポジウムかというと、日本ではオオカミが絶滅して久しいですが、その結果、天敵がいなくなった鹿やイノシシが増え過ぎ、農作物などへの被害が深刻化してきました。
そこで日本オオカミ協会は、日本では絶滅してしまったオオカミを海外から導入し、鹿やイノシシの駆除に役立てようと提案してきました。
しかしこの提案に対し、世間では
『オオカミなんて、あんな怖いものを導入するなんてとんでもない!!』
という反対意見が多く、オオカミについてもっと良く知ってもらおうと、日本オオカミ協会が企画したのが、この『オオカミシンポジウム2015』なのです。
シンポジウムでは、鹿による農作物の食害の現状や、本当は賢く優しいオオカミの性格や生態、日本と同様にアメリカアカシカによる生態系の破壊に悩まされていた米国のイエローストーン国立公園が、オオカミを再導入し、生態系の復活に成功した事例などが紹介されたということ。
また、そこでドイツの自然・生物多様性保護連合の幹事であるトーマス・バーテンさんは、童話などの影響で、不当に悪いイメージを持たれているオオカミの汚名返上のため、
【赤ずきんちゃんはウソ】
と書かれたワッペンを大量に作り、参加者に配ったそうです。
一方向から与えられる情報だけを鵜呑みにするのはダメですな
確かに、赤ずきんちゃん、三匹の子豚、オオカミと七匹の子やぎなど、ヨーロッパ発祥の童話に出てくるオオカミはたいてい、悪役として描かれています。
これは、その目つきの悪さや、家畜である豚やヤギ達を食べてしまうオオカミを忌み嫌ったヨーロッパの人々が、作り上げた話であるからです。
しかし、オオカミの目つきは、悪いというより、むしろ精悍であり、どちらかというとイケメンキャラとして活躍させる方が輝きそうです。
また、豚やヤギ達を食べてしまうというのも、元はと言えば、人間達がオオカミの棲家や獲物である草食動物を狩った結果、食べ物に困ったオオカミ達がやむなくとった行動であり、オオカミだけを悪者にするのは理不尽です。
しかし、小さい頃から読み聞かされた童話の影響もあり、私達はどうしても
オオカミ=悪い奴
という考えが染み付いてしまっています。
『オオカミシンポジウム2015』の記事を読んで、大人になった今でも、マスコミなどから提供される情報を鵜呑みにし、その本質を誤って理解していることが沢山あるかも知れないと、思わず考え込んでしまいました。
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