【1分でわかる】ギリシャ危機。財政破綻からユーロ離脱問題まで
ギリシャの支援問題をめぐる同国と欧州連合(EU)などとの協議が、本日16日に開かれるユーロ圏財務相会合でヤマ場を迎えます。
新聞やニュースで、なんかギリシャがヤバいらしい、っていうのはよく見かけるけど、具体的にどうヤバいの?という疑問をわかりやすく解説します。
ギリシャ問題を芸能ニュース的に例えてみます
有名ミュージシャンを多く抱える大手芸能事務所『EU』。
ここの二枚看板スターは、
圧倒的なテクニックに裏付けされた確かな演奏力を武器にしながらも、どん欲に新しいスタイルを取り込んでいくことで、往年のファンだけでなく、若い世代にも絶大な人気を誇るメタルバンド『Germany(ドイツ)』
軽快でオシャレなポップスが売りで、安定した売上をもつ、男女混合ユニット『French(フランス)』
の2バンド。
一方、EUのお荷物となっているのが、昔は結構人気もあり、「Olympia」なんていうヒットアルバムもあるものの、最近はほとんど仕事もせず、毎日酒ばかり飲んでいるロックシンガー『Greece(ギリシャ)』
どうもこのギリシャ、いろいろと借金も抱えているようで本人は
「いや、借金つってもほんの数百万程度だからよ、アルバム一枚出しゃ、すぐ返せるし心配いらねぇって!」
と言っていたものの、新しく付いたマネージャーが不審に思って問いただしたところ、実は数千万円もの借金をしていたことが判明。
またEUには、ギリシャの他にも、その頭文字をとって『PIGS(豚野郎)』などと陰口を叩かれているポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインといった問題ミュージシャン達も抱えており、週刊誌によってギリシャの借金問題が報道されてしまった結果、ギリシャ以外のPIGSのメンバーも多額の借金を抱えているのではないかと世間に噂され、EUの評判はガタ落ちしました。
しかしながらEUは、ドイツやフランスのアルバムセールスが好調なこともあり、大手レコード会社IMFと共同で、ギリシャの借金を半分肩代わりしてあげることにしました。ただし、
「テメー、ギリシャ!借金は肩代わりしてやるけど、今後、今までみたいに、金もないくせに高級車に乗ったり、おねーちゃんはべらしたりしてたら許さねーからな!心入れ替えてまじめに働けよ!」
ということが条件です。ギリシャも今回ばかりは首を縦に振るしかありませんでした。
それから、しばらくはギリシャもまじめに節約生活を続けていたのですが、ちょっと気晴らしに酒など飲もうものならEUから、
「のんきに酒なんて飲んでんじゃねーよカス!アルバム作れ!」
と言われますし、ドイツからは
「おめーは、俺らの稼いだ金で借金返してやったんだからよぉ、感謝しろよ!え、オラ」
などと、高圧的な態度をとられてフラストレーションが溜まっていきました。
そんなある日、いつもと同じように、交通費を節約するために事務所から自転車で帰ろうとしていたギリシャを、ファンが見つけました。
「ギリシャさん!ずっとファンです!『成り上がり(東ローマ帝国編)』は俺のバイブルっす。ドラマ『アテネさらば』も最高でした!!握手して下さい!
。。。あれギリシャさん、なんで自転車なんか乗ってんすか?いつもみたいにキャデラックじゃないんすか?」
「お、おう。まあほら、知ってのとおり俺も色々あってさ」
「ギリシャさん、そんなのギリシャさんじゃないっすよ!ギリシャさんに節約なんて似合わねえっす!」
それと同時に、ギリシャの節約生活が週刊誌に取り上げられたことで、往年のファン達も一斉に
「そんなのギリシャじゃねー!!」
「GREECE!!GREECE!!」
と、青地にGREECEと白文字で書かれたタオルを振り回しながら、一斉に声を上げ始めました。
それに気を良くしたギリシャ。
「やっぱ節約なんて俺には似合わねえ!節約なんてくそくらえだぜぇ!」
「肩代わりしてもらった借金も、返さねぇぜ!それがロックだぜ!!」
「つーかドイツ!!昔、俺がテメーに貸してやったギター壊しやがったことがあったな!あのギターは俺の一番のお気に入りだったんだぜ、俺が受けた心の傷は海より深い!!慰謝料よこしやがれ!!」
「何なら、EU辞めてやろうか、そしたら前みたく、あらぬ噂立てられてEUの評判もガタ落ちするぜぇ!!」
とやりたい放題。
まあまあ、ギリシャ。ちょっと落ち着いて話し合いをしようじゃないか、というのが現在の状況です。
第一次危機から現在までの時系列
では、ギリシャの財政破綻が明るみになったことで引き起こされた欧州危機から現在までを時系列で見てみましょう。
2009年
ギリシャ政権交代後の新政府が財政赤字の対GDP比が12.7%であることを発表(それまでは3.7%としていた)し、粉飾(企業で言うところの粉飾決算)が明るみになり、国としての信用を落とし、国債発行等による資金調達の道が閉ざされ資金繰りが悪化する。
その後、「ポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインなども危ない」と連想ゲームのように懸念が拡大し、それらの国々の国債が暴落。
それらの国債を大量に保有している欧州の大手銀行も危ないと見られるようになり、実際、一部の銀行は経営破綻。このためユーロが急落し、株価も欧州だけでなく米国、日本などでも下落し世界同時株安となる。
2010年〜2014年
欧州連合(EU)が緊急財務相会合で国際通貨基金(IMF)と共に、財政危機に陥っているギリシャに対して今後3年間で1100億ユーロ(約11兆7千億円)の融資を実施することで合意。また国際通貨基金(IMF)が55億ユーロ(約5800億円)の融資を実施することで合意。
その見返りとして、ギリシャ政府は3年間で300億ユーロの財政赤字を削減することをEUなどに約束し、増税や行政サービスの歳出カット、公務員のリストラなどを実施。しかし公務員や多くの国民はこれに強く反対、デモやストライキが繰り返される。
2015年
総選挙により、EU側がギリシャに強いた緊縮策に不満を持つ国民の支持を集め、反緊縮政策を掲げる急進左派連合が圧勝。チプラス新内閣が発足。
同国への国際金融支援の条件となっている幾つかの緊縮措置を撤回する計画を公表。
また、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるギリシャ占領で被った損害の賠償として、ドイツに対して1620億ユーロ(約22兆円)を請求する権利があると主張。
どうでしょうか、ギリシャ問題について少しはわかって頂けたでしょうか?(え?余計わかりにくいって)
関連記事
当事務所のホームページはこちら↓
面白いほどよくわかるギリシャ神話―天地創造からヘラクレスまで、壮大な神話世界のすべて (学校で教えない教科書)
- 作者: 吉田敦彦
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
- 購入: 13人 クリック: 103回
- この商品を含むブログ (8件) を見る