【130万円の壁】日経新聞に思いっきり嘘が書かれていて驚いた話
先日、日本経済新聞の朝刊の一面記事に、思いっきり間違った情報が書かれてあったので思わずコーヒーを吹いてしまった。
日経といえば「飛ばし」記事で有名であるが、そういった「スクープと思って先走って報道したら、実はガセだった」というたぐいではなく、基本的な社会保険制度の説明で嘘が書かれてあったので、
『おいおい、日本最大の新聞社で、イギリスのファイナンシャルタイムまでも買収した天下の日経が、こんなんで大丈夫なのか??』
と不安になってしまった。
記事は、いわゆるパートなどで働く主婦の『130万円の壁』対策として、企業に補助金を支給することが検討されているという内容。
『130万円の壁』とは、
・国民年金の第三号被保険者として、旦那の扶養になれる主婦の年収基準が130万円未満
・協会けんぽや多くの企業の健康保険組合で、旦那の扶養になれる主婦の年収基準が130万円未満
という決まりがあるため、パートなどの年収が130万円を超えてしまうと、夫の扶養を離れ、自分で国民年金や国民健康保険の保険料を支払わなければならない。この負担額はおよそ年間20万円ほどになるので、年収が130万円を超えないように働き方を控える主婦が多く、女性の就労促進の障壁になっている問題のことである。
で、問題の日経の記事において、社会保険の加入条件について
社会保険料は労使折半で、パート労働者の収入が130万円を超すと、企業側にも社会保険料の負担が発生する。
と書かれているのだが、嘘である。
企業が雇用している従業員において、社会保険(厚生年金と健康保険)の加入義務が発生するのは、正社員の労働時間や労働日数の3/4以上を勤務する場合であり、年収は関係ない。
例えば、正社員の所定労働時間(定時勤務の労働時間)が週40時間の会社の場合、週30時間以上働くパートについて、会社は彼女を社会保険に加入させる義務がある。
一方、週25時間しか働いていないパートで、年収が150万円あったとしても、会社は彼女を社会保険に加入させる義務はない。
ただ先述したように、この場合、年収が130万円を超えてしまうので、夫の扶養は外れてしまう。ところが、自分がパート勤めしている会社でも社会保険には入れてくれない。じゃあ、どうするかというと、自分で国民年金を支払い、市役所にいって国民健康保険の加入手続きをしないといけないのである。
ただ、このように現在のところ社会保険の加入要件に年収は関係ないのだが、来年の10月から、従業員501人以上の会社については、
・週20時間以上勤務
・年収106万円以上
・1年以上勤務する見込みがある
の条件を全て満たすパートについては、社会保険の加入義務が生じるようになるので、確かに年収も関係してくる。
おそらくこのあたりとゴッチャにして、記事を書いた方が勘違いされたのだと思うが、結構我々にとっては基本的な内容のことだけに、少々驚いた。
記事の校正をする上で、専門家に意見を聞いて説明に間違いがないかのチェックなどはしていないのだろうか?
やはり、与えられた情報だけを鵜呑みにしてはいけないのだ、ということを改めて考えさせられる出来事であった。
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- 作者: ベンジャミン・フルフォード(元フォーブス誌アジア太平洋支局長),板垣英憲(元毎日新聞政治部記者)
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