【本気(マジ)】厚生年金未加入事業所をマイナンバーで全特定へ
遂にというか、やはりというか。
政府はマイナンバーを利用して、厚生年金未加入事業所を17年度末までに全特定するという。
僕なども、『マイナンバーが始まれば、厚生年金の加入逃れは事実上不可能になるので、早急に経営体質を改善して、社会保険に加入しても倒産することのない会社作りを!』と数年前からずっと言い続けてきた。
このブログでも、なぜ法的に加入しないといけないにも関わらず、加入逃れをしている事業所が全国で80万社近くも存在するのかについて何度か書いて来たが、もう一度説明すると、従業員にかかる社会保険の保険料は、会社がその半分を負担しなければならないため、毎月なんとかやりくりしている中小零細企業の場合、社会保険に加入してしまうと、キャッシュフローが滞り、一気に倒産してしまう可能性があるからだ。
ただでさえ、世界経済の冷え込みやマイナス金利の影響で、中小零細企業への融資は厳しくなっているというのに、それに追い討ちをかけるような仕打ちであるが、法律は法律。
小さな会社がいくら潰れようが、国としてはそんなことはお構いなしといったところだろう。
まあ、マイナンバー導入の一番の目的が、税金を確実に徴収することと、社会保険料の納付逃れを厳しく取り締まることであったので、国がこのような動きにでるのは目に見えてはいたのだが。。。
しかし、取り立てだけはしっかり行って、肝心の経済回復につながる施策は空回りのままでは、今後の日本経済に不安を覚えるのは僕だけではあるまい。
さて、今回の未加入事業所の特定の流れであるが、
①企業向けマイナンバーを利用して、未加入事業所をあぶり出す
②文書や電話で加入を要請
③それでも加入しない場合は、立ち入り検査にて強制加入
④加入後、保険料を支払わない(支払えない)場合は、資産の差し押さえ
⑤差し押さえた社用車や、土地を競売で叩き売り
⑥会社倒産
となり、市場には差し押さえられた社用車名義の社長のベンツが安く流れめでたしめでたしとなる。
いや、冗談ではなく、ベンツとまでは行かなくとも、運送会社のトラックなどが普通に年金事務所が主催する競売で売られてしまうのである。
特に、未加入事業所が多いとされているのは、建設業と美容業であるが、建設業は数年前から相当厳しく未加入事業所へのペナルティなどが実施されてきたため、未加入事業所の数はだいぶ減って来ている。
一方、美容業はいまだ7割近くもの事業所が未加入であるとも言われている。
ただし、美容室など一部のサービス業については、従業員が5人以上であっても個人事業主である場合に限り、社会保険に加入しなくてもよい特例が認められているので、法人から個人事業主に戻す事業所も多い。
ただ、銀行などから融資を受けている関係で、個人事業主にもどせない美容室も多く、ただでさえ競合の増加で経営難に陥っている美容室が多いさなか、今後、美容室にとってさらなる苦難の日々となることは間違いない。
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