デヴィッド・ボウイ。嗚呼デヴィッド・ボウイ。
デヴィッド・ボウイは僕にとって特別なアーティストだった。
そのアルバムはすべて集め、昔、音楽をやっていた頃は、楽曲をコピーすることはもちろん、その特徴的な歌い方すらマネしたものだ。
それだけに、ニュースサイトの『ボウイ死去』の見出しに、一瞬何のことやらわからず、事実を理解するのに少し時間がかかった。
デヴィッド・ボウイ
間違いなく、ロック界を代表するレジェンドの1人であり、音楽史に与えた影響はビートルズにも匹敵するだろう。また、これほどまでに【美しい】という形容詞がぴったり来るアーティストを僕は他に知らない。歳を重ねてもなお、その美しさは健在であった。
もちろん、ボウイの全盛期である彼の第一期黄金期に、僕はまだ生まれてもいなかった。
僕がボウイの名をはじめて知ったのは、彼がティンマシーンなどという、愚にもつかないバンドごっこに興じていた暗黒期であったのだが(今、改めて聴くと、これはこれで悪くはないが)、その頃、たまたまラジオから彼の代表曲『ジギースターダスト』が流れ、もの凄い衝撃を受けたことを昨日のことのように思い出す。
今まで聴いたどんな曲とも違う、特徴的なギターリフにからむ静と動のコントラスト。そして、サビで爆発するボウイの喉から絞り出すようなあまりに特徴的な高音のボーカル。
「ボウイやべえ。。。」
その瞬間から、僕はすっかりボウイの虜になり、彼の過去のアルバムを聴き漁ったものだ。
ここ数年、目立った動きのなかったボウイであるが、2年前には10年ぶりともなるアルバム『The Next Day』を発表し、これがまた彼の全盛期を彷彿とさせる名作であった。
また、つい先日の今月8日には、さらなるニューアルバム『Blackstar』を発表。このアルバムも、ベルリン時代を彷彿とさせるような、陰鬱とした静けさの中に、高い音楽性を秘めた力作であり、ボウイが70歳を目前として何回目かの黄金期を迎えていることは明らかであった。
そこにきて、この訃報である。
あまりにも突然で、未だに気持ちの整理がつかない。
しかし、末期癌と戦いながら、これだけのアルバムを制作したボウイのミュージシャンとしての気迫には、驚愕しかない。
『Blackstar』全体を覆う、息苦しくなるような重苦しさは、もしかすると彼が自分のレクイエムとして、このアルバムを制作したからなのかもしれない。
デヴィッド・ボウイ
間違いなく、ロック界で最も美しい男であり、スターという言葉が最も似合う男であった。
彼を超えるカリスマは、少なくともロックという土壌においては、今後二度と現れないのではないか。
デヴィッド・ボウイ
彼は、再び宇宙へ還って行ったのだ。
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