マクドナルド遂にお手上げ。株式売却へ
米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルド株の売却に向け、大手商社や投資ファンドなど計5社程度に譲渡を打診しているとのこと。
03年から続いてきたアメリカ主導の体制であったが、不振が長引く日本市場において、事実上さじを投げたことになる。
藤田田氏が経営を離れてから、マクドナルドはおかしくなった?
日本マクドナルドは1971年、日本トイザらスの創業者としても御馴染みの、故・藤田田氏が経営する藤田商店と米マクドナルドが50%ずつ出資して設立された。
ご存知の通り、日本マクドナルドは国内におけるファーストフードチェーンの草分けとして、日本の外食産業をけん引してきたが、01年のジャスダック上場を経て、藤田一族はその保有する株をほぼ全て売却し、その後の経営は米マクドナルド主導で行われてきた。だが、2010年頃から売上高は低迷し続け、回復の兆しは見えないままだ。
と、これだけを読むと、藤田氏が経営を離れ、アメリカ主導で行われるようになってから、マクドナルドが凋落し始めたように思われるかもしれない。しかし、藤田氏が経営を離れるきっかけとなったのは、01年に今まで好評を博していた「平日半額セール」を打ち切ったことで客足が低迷し、さらにそこにBSE問題が追い打ちをかけ、創業以来初の赤字に転落したことであり、その頃からマクドナルドには既に翳りが見え始めていたのだ。
原田永幸氏は本当に『疫病神』だったのか?
藤田氏は徹底的な価格破壊により、幅広い年代にハンバーガーを広めることに成功し、平成不況のデフレ下においても一人勝ちし『デフレ時代の勝ち組』と呼ばれたが、皮肉なことに自らがけん引した価格破壊が、さらなるデフレを引き起こし、自身のクビを締めることとなる。
為替の変動などの影響をモロにうけ収益が悪化したマクドナルドは、「平日半額セール」を打ち切るしかなかったのだ。
さて後、経営を任されたのがご存知、原田永幸氏である。
ネットでは『疫病神』など散々な言われようで、まるで現在のマクドナルドの凋落のきっかけを作ったのが原田氏のように言われているが、実際は、藤田氏が進めてきた低価格戦略の見直しを進め、24時間営業の強化や、MEGAマックなどの魅力的な企画商品を次々と打ち出し、短期間で業績を建て直している。
ただ、業績に再び翳りが見え始めた中で行った、レジカウンターのメニュー表の廃止や、60秒で商品を提供するキャンペーンなどの施策が、ネットで批判を集め、ブランドイメージを損ねたことも間違いない。
しかし現在のマクドナルドには、低価格チェーンやコンビニエンスストアなどの対抗勢力との競争激化により、業績に下向きの圧力がかかり続けているので、少しでも気を抜くと、どうやっても業績が落ち込んでしまうことは仕方がないとも言える。
マクドナルドはかつての輝きを取り戻せるのか
立て直しの定石としては、店舗数を減らし、より高付加価値のある商品を開発することで、高級感を打ち出し、商品単価を上げることだが、マクドナルドのように、安くて手軽という企業イメージがあまりに強く染み付いている場合はこれは難しいだろう。
やはり、我々がマクドナルドに求めているのは、全国どこでも手軽に、安く、そこそこの食事が出来るという点である。
となると、やはり原点に回帰して、若者やファミリー層が手軽に利用出来て、ちょっとだけオシャレで、ちょっとだけテンションの上がる店作りや商品開発をどう進めていくかではないだろうか。
ファミリー層や学生達で溢れ返るマクドナルドを再び見れる日はくるのだろうか。
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