社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

社労士界のドクターキリコ。K先生のブログ炎上騒ぎについて。

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はてなキーワード経由で、ある社労士先生の名前で検索して、このブログにたどり着く人が昨日あたりからチラホラいるようだ。

ハテ?これは一体どうしたことか、と調べて見ると、どうやら、そのK先生のブログが大炎上しているようだ。そこで、その炎上しているブログとやらはどんなものか、と気になった人達がK先生の名前でキーワード検索し、なぜか僕のブログに迷い込んでしまったというわけだ。

 

社労士界のドクターキリコ

その炎上しているブログの内容はというと、モンスター社員を鬱病にして退社に追い込む方法であるという。

。。。そりゃ炎上するわ。

ただ実は、いつかはこうなるんじゃないかと思っていたのだ。

僕はK先生とは直接面識はないのだが、ある知り合いの社労士先生がK先生とFacebookで繋がっているようで、その知り合いの先生がK先生が投稿した記事に『いいね!』するたび、僕のFacebookにもK先生の記事がシェアされる。

その記事を読んで、僕は密かにK先生のことをこう呼んでいた。

『社労士界のドクターキリコ』

そうなのである。このK先生は、この炎上した記事に限らず、終始一貫して

無能な社員は速攻クビにしろ!

鬱になる奴や自殺する奴は、そいつが弱いから悪い!

という、ある意味すがすがしいまでのファシストなのだ。

ただ、こういった発言がK先生の一種のパフォーマンスであるとわかっていても、僕にはどうにも受け入れがたく、読後の気分が最悪になるので、K先生の記事がなるべくFacebook上に表示されないように設定したりしていた。

 

 

儲ける為には仕方がないのか?

社労士には極端に言うと、二通りのタイプがいる。

一つは、完全に経営者の味方という立場を取り、合法的に労働者からどれだけ搾取するか、どうやってクビに追い込むかをアドバイスするタイプ。

もう一つは、労働者の味方として、彼らの悩みを聞き、ときには残業代の未払い請求の方法や、鬱になった原因を会社に労災として認めさせる方法をレクチャーするタイプ。

どちらが簡単に儲かるかというと、そりゃもちろん前者である。

社労士のメイン顧客は経営者であり、お金をくれるのも経営者であるのだから、その味方をした方がお金を稼げるに決まっている。

綺麗ごとだけでは、オマンマは食えないのである。

社労士試験に合格した直後は皆、俺は労働者の味方になる!!という崇高な理想を持っているのだが、社会の荒波に揉まれ、食って行く為にやむを得ず前者にシフトしていく社労士も多い。

 

従業員が安心して働ける環境を作るのが社労士の仕事

じゃあ、K先生のやり方が社労士として正しいのか、というと僕はやはり違うと思う。

強欲な経営者の希望だけを聞いて、労働者からドンドン搾取する方法を伝授すれば、経営者は喜んで社労士に報酬を支払ってくれるだろう。

社労士も手っ取り早くお金が儲かるのだから、これが一番楽である。

しかし、長い目で本当に経営者や会社のことを考えるのであれば、会社の経営とのバランスをとりながら、どうやって従業員が安心して働ける環境を作って行くのかが一番重要なのである。

会社を支えるのは従業員である。経営者が従業員のことを想いやれば、従業員も会社の為にがんばろうと思ってくれる。そうすればおのずと会社の業績は上がって行く。

孫子の兵法の中にこういう一文がある。

将軍が兵士に注ぐ眼差しは、赤ん坊に対するように慈愛に満ちているものである。

だからこそ、いざという時に、兵士を危険な深い谷底へでも率いていくことができるのである。

また、将軍が兵士に注ぐ眼差しは、わが子に対するもののようである。

だからこそ、兵士は将軍とともに死ぬ覚悟で戦いに臨むことができるのである。

会社の経営者と従業員の関係もまさにこれである。

 

安易な首切りは会社にとってもマイナス

もちろん、会社だけでなく、他の従業員にまで迷惑をかけまくるモンスター社員も実在する。

そんなときは、社労士は彼を合法的に退社させる方法を経営者にレクチャーすることもある。会社と、真面目に仕事をしている他の従業員を守る為にはやむを得ないからだ。

おそらくK先生も、こういった本当にどうしようもないモンスター社員をクビにする最終手段としてブログを書かれたのかもしれないが、やはり表現がどぎつ過ぎた。

第一、そういうモノホンのモンスターは、ちょっとやそっとじゃ鬱にならないと思う。

会社に追い込まれて鬱になってしまうのは、真面目で頑張っている人達ばかりだ。

ちょっと仕事が他の人よりも遅いからといって、安直にその人に『無能』のレッテルを貼り、退職に追い込むのは間違いだ。会社はまず、本当に今の仕事がその人に向いているのか、他にその人が力を発揮出来る仕事はないのか、職場環境は本当に適切なのかを考えるべきなのである。

これは決して綺麗ごとではない、会社が限りある人材を有効に活用し、業績を伸ばす為の基本的なセオリーである。

 

まあ、何が言いたいのかというと、この炎上騒ぎで、あんまり社労士のことを誤解しないでチョ。ということである。

 

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