ドイツが難民受け入れに公費1.3 兆円を投入
内戦が続くシリアなどからの難民の受け入れに積極的なドイツは、難民の職業訓練やドイツ語の習得などにかかる費用として、約1.3兆円の公費を投じることを決定した。
過酷な状況にさらされている難民たち
内戦が続くシリアなどの中東や北アフリカから、自らの命を守るため大量の難民がヨーロッパへと流入しているが、ヨーロッパ諸国は、難民の受け入れに消極的だ。
これは、中東や北アフリカの紛争が、ヨーロッパ諸国の受け入れ許容人数を遥かに超える難民を生み出していることが原因だ。
危険に満ちた亡命の長旅の中、各国をたらい回しにされ、命を落とす難民の数は3千人にも及ぶといわれる。
先日も、亡命途中の事故によりトルコの海岸に打ち上げられた、3歳のシリア人少年の遺体写真が、ネットを通じ全世界に発信され、難民達がおかれている過酷な現状に世界中の人々が衝撃を受けたことは記憶に新しい。
なぜドイツは難民の受け入れに積極的なのか
しかし、このような状況の中、唯一難民の受け入れに積極的なのがドイツだ。
ドイツ政府の試算によると、今年の難民申請者数は80万人と、実に昨年の4倍にも上るという。
なぜ、ドイツはこれほどまでに難民の受け入れに積極的なのか?
理由は二つある。
一つ目の理由は、純粋に人道的な理由である。ドイツは、第二次世界大戦において自国が犯した罪の反省から、憲法により積極的な難民保護を掲げている。
二つめの理由は、日本と同じく、ドイツが世界で最も少子化が進んでいる国の一つであるという点だ。深刻さを増す労働力不足を解消するため、難民を労働力として取り込みたい思惑がある。
だが、もちろんドイツの中でも、難民受け入れに対する反対運動や、ネオナチによる難民収容施設への放火など、排斥運動があることも確かだ。
しかしながら大多数のドイツ人は難民への支援に積極的で、ネオナチに立ち向かう若者も多く存在するとのこと。
まさに「一流」と呼ぶにふさわしいドイツの対応
今回のドイツの勇気ある行動は、ドイツと同じく、少子高齢化という悩みと、過去の大戦における反省を抱える日本にとって、考えさせられる点も多い。
もちろん、他の諸国と陸続きであり、過去多くの移民や難民を受け入れて来た歴史のあるドイツと、島国である日本とでは、国民の意識に大きな隔たりがあることも事実であり、難民の受け入れにより国の治安が乱れることへの懸念もぬぐいきれない。
ただ、国際社会を担う日本の役割として、世界が抱える問題と悲劇に、「単に金を出すだけ」といった対応では、世界に誇れる一流の大国とは言えないのかも知れない。
今回のドイツの対応は、まさに「一流の国家」として、手放しで賞賛されるべきものだと思う。
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