シャープの99%減資はもっと評価されるべき
経営再建中のシャープが、1200億円もの資本金を1億にまで減らし、中小企業化する方針を固めたと、日本経済新聞がこの週末に報じました。
この報道を受け、今朝のシャープの株価は年初来安値のストップ安で寄り付きました。
一方、シャープ本社は本日コメントを発表し、「さまざまな検討を進めているが、決定した事実ではない」としています。
ただ、個人的にこの報道の信憑性はかなり高いのではないかと思います。
99%減資の意味とは?
では、このような大幅減資をすることでシャープが得るメリットはなんなのでしょう?
まずこの「減資」という言葉についてですが、株式会社は自社の株を株主に購入してもらうことで集めたお金を「資本金」という形で会社運営に利用していますね。
普通に考えると「減資」は発行している株を減らすことですので、株主に対して会社財産を払い戻しするというのが、実質的な「減資」になります。
しかし、「減資」にはこのような実質上の減資の他に「名義上の減資」というものがあります。これは、前述したような株主への財産の払い戻しをせず、帳簿上のみで資本金を減少させる方法です。
これは帳簿上の資本金額が変更されるだけで、会社財産は減少せず、また今回のシャープのような99%減資の場合は、株主の会社に対する支配比率や株の価値も減資前と変わりません。
一方、減資により浮いた資本金の剰余額を損失の解消に割り振ることができ、シャープが現在抱える多額の赤字を一掃することが可能になります。
さらに、今回の減資により中小企業に格下げになることで、税制上の優遇措置も受けることが出来るようになります。
今回の減資で、抱えている赤字を一掃しておけば、今後シャープの再建にともない発生する利益を赤字の補填に回す必要がなくなりますので、すぐさま株主への配当に回すことが可能になり、増資や資本提携が進めやすくなるというのがシャープが減資に踏み切った狙いです。
減資のデメリット
「いや、それだったらどの会社も減資したほうがイイじゃん!」
と思ってしまいますが、やはり減資には大きなデメリットがあります。
資本金の額というのは、その会社の規模や信頼度を図る一つの指標となりますので、その額を少なくするということは、すなわち会社の信頼度の低下につながるのです。
会社の信頼度が低下すると、銀行からの融資が受けにくくなったり、株価が下がったりといった不具合が生じますね。
また、今回のシャープのような名義上の減資の場合、株式の発行部数自体は変わりませんので、今後増資を進めるにあたり、新たな株を発行することで、発行済株式数が増え、結果として既存株主の持ち分比率が目減りし、配当金の減少や、株主総会での議決権が弱まる可能性があり、そういった懸念材料が株主離れを引き起こすことも考えられます。
99%の減資といえば、過去にダイエーが行ったことが記憶に新しいですね。しかし、残念ながらダイエーはその後も経営を立て直すことが出来ませんでした。
では、シャープもダイエーと同じような道をたどってしまうのでしょうか?
シャープは必ず再建できると思う
シャープが現在の状況にまで落ち込んでしまったのは、見通しの甘さと過信が原因です。
「まだ、大丈夫」
「ここを乗り切れば何とかなる」
「我々ならなんとかできる」
といった言葉でごまかしながら、液晶に代る事業の柱を見つけることが出来なかったツケが今、一気に回ってきたのです。
しかし不採算事業からの撤退や、人員削減、そして今回の減資など、ついになり振りかまわず本気で「生き残り」をかけてきたシャープ。
他社がマネの出来ない高い技術力のある企業だけに、今回の立て直しの施策に加え、従業員と経営陣の意識改革さえ出来れば、必ず再建できると私は思っています。
ただ、社員たちとの溝がますます深まっていると噂される、高橋社長の続投が早々に内定するなど、まだまだ「甘さ」が残っているようにも思われるシャープ。
倒産の仕方もシャープでしょ。とならずに
回復の仕方もシャープでしょ!となってくれることを期待します。
うーん、今のうちにシャープの株買っとこうかなー(笑)
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