【ドイツ旅客機墜落】副操縦士に深刻な「疲労症候群」の疑い
ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス、9525便の痛ましい墜落事故で、飛行機を意図的に墜落させたとされる副操縦士について
「テロ目的」「自殺」「重度の鬱病」
など、様々な理由が報道されています。
そんな中ドイツの新聞は28日、副操縦士が「深刻な疲労症候群」であったと報じました。
ドイツ紙によると、捜査関係者の話として、意図的に墜落させたとされる副操縦士が、原因不明の頭痛やめまいなどが続く、深刻な慢性疲労症候群を患っていたとしています。
慢性疲労症候群とは
【慢性疲労症候群】
聞き慣れない病名ですが、一体どんな病気なのでしょう。
一般的に栄養ドリンクなどのCMで使われる、毎日の疲労が蓄積して一晩寝てもなかなか疲れが取れない「慢性疲労」と名前は似ていますが、実態は病名のイメージと違い、大変に厳しい病気のようです。
生活するのが困難なほど強烈な疲労感が6ヶ月以上も続き、体が鉛のように重くなり、寝たきりになることもあるこの病気。国内の患者数は30万人とも言われますが、原因は未だにわかっておらず、有効な治療法も見つかっていません。
またこの病気は強烈な疲労感の他にも、頭痛、思考力低下、不眠、鬱、筋肉痛など、様々な症状を伴います。
副操縦士が、本当に慢性疲労症候群を患っていたとすると、多くの人間の命を預かる操縦桿を握れる状態ではとてもじゃないですが、なかったはずです。
実際に、ドイツ当局が家宅捜索で押収した診断書には、墜落が起きた24日を含む今月9〜26日が「勤務不可」とされていたとのこと。
ジャーマンウイングス社において、パイロットの採用後は定期的な健康診断だけで、「精神面での定期検査は実施していない」ということであり、定期健康診断の実施頻度や、精神面の安定のチェック体制について、今後、管理責任問題を追求されるのは間違いないでしょう。
LCCが抱える慢性的なパイロット不足問題
現在、パイロットは世界的な人手不足になっており、大手航空会社と比較して労働条件が決して良いとは言えないLCCにおいては、特に慢性的なパイロット不足に陥っています。
日本においても昨年、機長の不足を理由にピーチ・アビエーションが約2千便欠航し問題となりました。
もしかすると、こういった背景もパイロットの健康管理のチェック体制の甘さを生んだ一因なのかもしれません。
またLCCでは徹底的なコストカットのため、パイロットには一日何便もの離着陸が強いられたり、十分な睡眠や休憩時間が確保できなかったりといった問題もあるようです。
しかしながら、自らの命を預けるわけですから
「安い」=「危険」
という利用者のイメージを完全に払拭できない限り、今回の事故は多くのLCCにおいて強い逆風になることは間違いありません。
今回の事故に遭われた方々のご冥福をお祈り致します。
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