特許公開の裏に見える、大企業のしたたかな思惑
パナソニックは23日、インターネット接続機能で利便性を高めたスマート製品「IoT」分野の特許約50件を無償公開すると発表しました。
特許公開でIoT市場の活性化につなげ、自社の端末やサービスの販売拡大につなげるのが狙いとのこと。
また、今年の1月にはトヨタ自動車が、FCV(燃料電池車)について、審査継続中を含む5680件の特許をすべて無償で提供すると発表し、大きな話題を呼んだことも記憶に新しいです。
技術者達の努力の結晶とも言うべき特許を、ライバル達にタダで使わせることに違和感も覚える、大企業の先進技術に関する自社特許公開の動き。
「さすが、大企業様ともなると自社の儲けだけではなく、社会全体の発展ことまで考えて下さっておられる。なんと慈悲深いことであろう。ありがたや、ありがたや」
と心のキレイな人は大企業の英断に純粋に感動するところですが、
私のように、この世に生まれ落ちた瞬間に、まず看護婦さんの顔を見て
「 まじで? 自分、ちゃんと免許持ってんの?」
と確認を入れた後、初めてオギャーとひと泣き、というすべての物事をまず疑ってかかる人間はそう簡単にはいきませんよ!(いや、自慢にならんし)
特許公開の裏に見える、大企業のしたたかな思惑
トヨタやパナソニックの大手企業が、これから世界的に大きく伸びていくと思われる燃料電池車やIoTに関する自社の知的財産をあえてオープンにするのは、そうすることでその規格を利用する企業を増やし、自社の規格をグローバルスタンダードにすることで、市場の主導権を握りたい思惑があるからです。
例えばグーグルは、スマホ向けの基本ソフトである「アンドロイド」を無償公開することで、スマホ市場で主導権を握り自らが有利な事業環境を作り出すことに成功しました。
一方、トヨタは1997年に世界で初めて発売したハイブリット車の関連技術を特許で囲い込むことで、ライバルを圧倒することには成功しましたが、結果として欧州や米国でのハイブリット車の普及は進まず、全世界でのシェアは2%にとどまっています。
でも全体にメリットがあることは間違いない
特許公開の裏には、こういった過去の失敗を踏まえて、ライバル企業に特許を無料で使わせることで自社方式をデファクトスタンダードとし、注目の先進技術の市場において主導権を握りたいという企業のしたたかな思惑があります。
しかしながら我々一般の人間も、先進技術の開発スピードがあがることで、その技術による恩恵をより早く享受することができるため、結果としては
「ありがたや、ありがたや」
ということで問題なさそうです。
当事務所のホームページはこちら↓