過去最高水準のベアで春闘が続々決着。しかし日本経済の春はまだ遠いか。
春期労使交渉において、トヨタが過去最高水準の月4000円アップで決着し、日産自動車においては、さらにそれを上回る5000円アップで回答するなど、日本の産業界をけん引する自動車大手2社が相次ぎ高水準のベアを実施することになりました。
他の主要企業においても、好調な業績を背景にベアを含めた賃上げを容認する意向を示しています。
「ビバ!好景気。日本の好景気の夜明けぜよ!」
と、新聞に躍る字面だけを見た場合、来るべき春を間近に、うかれ気分でrock'n rollてなものですが、現実はそう甘くもありません。
中小企業の苦悩
政府としては、まず大企業に賃上げを実施してもらい、その恩恵が下請け企業へ「トリクルダウン」されることで経済の好循環を生み出したい狙いですが、好景気に沸く大企業を横目に、中小企業の苦悩が浮き彫りになってきています。
大企業と違い中小企業は輸出が少なく、アベノミクスによる円安の恩恵を受けないばかりか、逆に材料費の高騰で経営が追い込まれているところすらあります。
さらに、大手の業績回復に伴って、多くの人材がそちらに流れ、中小企業の求人活動は非常に困難になってきています。
しかしながら、元請け会社の賃上げの余波と、人材確保のために厳しいながらも賃上げに踏み切らざるを得ない中小企業が増えているのが実情です。
ベアは個人消費につながるのか
もう一つの問題として、今回のベアが本当に個人消費を生み出し、日本経済の再生につながるのかという点です。
一般へのアンケートによると、生活実感や消費の実情に照らしてベアが何%になれば消費を増やそうと思うかの質問に対して、「3%以上」が70.4%と最も多く、「2%以上3%未満」が16.6%となっています。
一方、実際に勤務先でどれくらいのベアが見込まれるか、との問いには「1%以上2%未満」が39.7%と最も多く、「1%未満」という回答を含めると過半数が2%未満のベアしか見込めないと回答しています。
消費増には3%以上のベアが必要だが、実際に期待できるのは2%未満。
花粉も飛び始め、気温も徐々に暖かくなり、春はもうそこまで来ていますが、
日本経済が本格的な春を迎えるためには、まだまだ問題が山積みのようです。
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