【日本財政崩壊?】黒田日銀総裁のオフレコ発言とは?
株価が15年ぶりに1万9000円台を回復し、トヨタ自動車など大手企業が相次いで、大幅な賃上げに動くなど、日本の経済回復への期待が高まっています。
その一方で、先月12日の経済諮問会議で、黒田日銀総裁が発した日本の財政崩壊を示唆する、意味深な「オフレコ発言」がにわかに話題になっています。
問題のオフレコ発言とは
話題となっているオフレコ発言とは
スイスに本部を置くバーゼル銀行監督委員会で国債をリスク資産とみなす議論が始まっていることに言及し、「国債がリスク資産にされると、損失に備えて銀行は巨額増資や融資縮小を求められる。銀行が増資の代わりに保有国債を大量売却すれば長期金利の上昇を招く。国債がリスクゼロの安全資産であるという考えはもはや通用しない。」と、発行残高800兆円にもおよぶ日本の国債頼り政策への危機感を延べ、日本国債の信用力を担保するためにも、財政健全化に本腰を入れるように安倍首相に強く迫ったというもの。
また、この発言が報道されると、市場に悪影響を及ぼす可能性があるとして、議事要旨から削除し、出席者にも口外せぬよう箝口令が敷かれたといいます。
発言の内容をわかりやすく解説
ここで、ちょっと黒田日銀総裁の発言を噛み砕いて、わかりやすく説明しますね。
まず、国債とは国がお金を借りる時に発行する借用証書のようなものです。もちろん国は国債を買ってくれた人に、後で利子をつけてそのお金を返す必要があります。
現在、国債は元本保証(価値が購入時を下回ることがない)または実質的にそれに近い安全資産であると見なされています。
一方、いまバーゼルで議論されている「リスク資産」とは、株などのように元本保証がされていない資産のことをさします。
今、国内の銀行はご存知の通り、大量の日本国債を保有しています。国債がリスク資産であると見なされた場合、銀行は、国債の価値が下がり元本割れした場合の損失に備えるため、巨額の引当金を用意するか、保有している国債を売却してしまうかの措置をとらねばなりません。
そうなると国債が売れなくなってくるので、国債を買ってもらうためには、必然的に国債につける利子を高くしないといけなくなります(長期金利の上昇)。金利が上がると政府が支払わなければならない利払額が増え、徐々に借金で首が回らなくなり、結果として日本の財政が破壌するということを、黒田日銀総裁は懸念しているんですね。
必ずしも「長期金利の上昇=悪」というわけではない
ここで勘違いしがちなのが、国債金利が上昇すると絶対にダメなのかというと、そういうことではなく、
健全な経済活動により日本が好景気になる
↓
民間企業が銀行から多くお金を借りるようになる
↓
銀行がわざわざ国債を買わなくても十分にお金が回る状況になる
↓
国債が売れなくなり、金利が上昇する
という場合は何も問題がないのです。
というのも、この場合は国債金利が上昇しても、それ以上に国が豊かになるので、いくらでも余裕を持って借金を返せるからですね。
しかし、現在の日本の状況で、国債金利だけが上昇してしまうと、返すお金がないのに借金の利子が膨れ上がってしまうから問題なんですね。
何とか軌道に乗り始めた日本の景気回復に、大きな打撃を与えかねないバーゼル銀行監督委員会での議論。どうにか大事に至らずに済んでほしいものです。
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