サルが自撮りした写真の著作権は誰に?
さて、今年の干支にちなんで、サルに関する話題を。
アメリカで、とある裁判が話題となっている。その内容とはこうだ。
『サルが自撮りした写真の著作権は、そのサルにあるのか、それともカメラの持ち主にあるのか』
さすが裁判大国アメリカである。禅問答のようなこの馬鹿げた問題が、真剣に争われているという。
しかし、その背景を詳しく見てみると、なるほど、当人達にとっては、いたって切実な問題のようだ。
サルが自撮りした写真の著作権はサルにある?
ことの発端は、あるカメラマンが絶滅危惧種のクロザルの生態を撮影していたところ、カメラから目を離している隙に、一匹のクロザルがカメラに興味を示し、いじくり回しているうちに偶然、何枚かの自撮り写真が撮影されたことによる。
このうち数枚の自撮り写真が奇跡的に素晴らしい出来で、世間に公表したところ瞬く間に世間の人々の注目を集め、この写真を掲載した写真集も出版されるなど、カメラマンは一躍有名になった。(下がその写真。志村けんではない)
ところがある日、カメラマンが知らない間に、この自撮り写真がWikipediaに、誰でも無償で自由に利用出来る著作権フリーの画像としてアップロードされたのである。
Wikipedia財団の言い分は、「写真の著作権はシャッターを押したサル本人にある」とし、これに激怒したカメラマンが「写真の著作権は自分にある」として訴えを起こし、現在に至る。
とまあ、ここまでは十分に理解出来るし、個人的には、カメラマンの主張はもっともなようにも思える。カメラマンが現地まで費用を出しておもむき、カメラをセッティングしたからこそ、このような奇跡的な写真が撮れたわけだし、これがシャッターを押したサルに著作権があるなんて、一休さんも驚きのとんち解釈をされては新右衛門さんもビックリだろう。
相変わらずのアレな人たち
しかし、しかしである、この争いに、また新たな第三勢力が現れて問題を余計ややこしくしている。
ある動物保護団体が、サルの代理人となり、
「おサルさんの著作権はおサルさんのものデース!カメラマンはおサルさんの著作権を侵害してイマース!!おサルさんにロイヤリティを払いなサーイ!!!」
とカメラマンを相手取り裁判を起こしたのだ。
しかし、どうして動物保護団体というのは、こうアレな人が多いのだろう。。。
もちろん、この訴えはサンフランシスコの連邦地裁によって、今月7日『著作権はサルにはない』として退けられた。
さて、この争いの最終的な行方はまだわからず、著作権の帰属がカメラマンに認められるかどうかは非常に微妙な状況のようだ。だがもし、著作権がカメラマンに認められないと判断された場合、例えばソフトバンクのペッパーが撮影した写真などの著作権はどうなるのだろう?全て著作権フリーの写真となるのだろうか?
こうなると、ロボット保護団体も『ロボットの人権(ロボ権)を無視するな!』と声をあげるのだろうか。それはそれで胸熱である。
(カメラマンの主張を応援しておきながら、ちゃっかり、wikipediaから写真を引用していることについては、まあ、それはそれということで。)
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