社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

B'zのパクリは許されるのに、なぜデザインのトレースは許されないの?

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類似指摘問題のすったもんだの末、ついに2020年東京五輪の大会組織委員会は、佐野研二郎氏デザインの五輪エンブレムの使用を中止する方針を固めたとのこと。

この問題については、本当にある時期から一気に潮目が変わったように思う。

類似が指摘され始めた7月下旬においては、

『別に変更しなくてもいい』

という意見が世論の大半であった。

確かに、ベルギーの劇場ロゴに似ていると言えば似ていなくもないが、単純な幾何学模様の組み合わせであり、偶然似てしまったのだろうし、別にそれほど騒ぎ立てなくても。。。というのが一般の意見であった。また、五輪のスポンサー企業も『問題なし』というスタンスであった。

もちろん僕もその1人で、ネットで叩かれまくっているほど、悪いデザインでもないし、そんな騒ぎ立てなくても。と思っていた。

 

潮目が変わり始めるきっかけとなったのは、8月になって判明した、佐野研二郎デザインとされていたサントリーのトートバッグのトレース問題だ。

トレース元とされた画像と、トートバッグのデザインを見比べれば、もうこれは絶望的に言い訳の出来ないレベルであった。

しかし個人的には、アートの分野では『コラージュ』。音楽の分野では『サンプリング』という手法がある通り、誰かの作品を二次利用して新たな作品を創るということに対して、『パクり』だ何だと非難するのは無粋だと思う。

ただし、これは二次利用により新たに生み出された作品が、元の作品を離れ、一つの新たな作品として全く別の魅力を持っている場合に限る。(加えて権利関係をクリアーにしておくのが、もちろんベストであるに違いないが。)

件のトートバッグについては、素人目に見ても『やっつけ仕事』としか思えないものであったし、『佐野研二郎デザイン』と銘打っていたにもかかわらず、アシスタントが勝手にやったこと、などといった無責任な責任逃れの言い訳が、

「何もそんなに、青筋たてんでもええやねん」

エンブレム問題について、擁護派であった人々の心証を大きく悪くしたことは間違いない。

またその後も、過去の仕事における類似デザインが、どんどん暴かれるにつれ、

「あ、もしかしてこの人、真っ黒かも。。。」

と皆が疑念を抱き始めた結果、8月下旬におけるアンケートでは、95%もの人々がエンブレムを使うべきではない、と回答した。

そうなってしまうと、スポンサー企業も自社のホームページからエンブレムを撤去し始め、完全に潮目は変わってしまった。

佐野氏を擁護すると、氏のデザインの大多数はオリジナリティあふれるものであると思うし、デザインの世界であそこまで名前を売った実績は、やはり氏の才能によるものだと思う。

沢山の仕事を抱え、いくつもの作品のノルマに追われる中で、別の作品からインスピレーションを受け、それに似通った作品を作ってしまうことが、幾度かあったとしても、そのことで、氏の才能を全否定するのはどうかと思う。

そんなことを言えば、80年代や90年代に活躍したJ-Popの巨匠達(ビー○やら、レベ○カやら、○野元春やら、ほとんど全員ですよ!)は、皆才能がないことになってしまう。

しかし、それらのアーティスト達のことを、僕は未だに大好きだし、カラオケに行けば必ず歌って盛り上がる。

「この曲って、ツェッペリンのパクリなんだよねー」

「これは、スプリングスティーンの曲そのまんま」

なんて言われても、

「んなこた知ってるわい!しょうもないこと言うなや、お前は中学生かよ!」

で笑い飛ばせてしまう。

ただ、佐野氏の不幸は、それが全世界が注目するオリンピックのエンブレムであったということである。

全世界に発信されるエンブレムが、パクリの可能性があるとなると、確かにちょっとマズいかも。。。と思ってしまう。

さて、エンブレムを再選考するとのことであるが、完全にオリジナルなものばかりを高いレベルで創り出しているデザイナーでなければ、おそらく佐野氏の二の舞となり、過去の作品をネットで暴かれ、パクリだ何だと騒ぎ立てられるリスクがある訳で、おいそれと応募することもためらいそうであるが、どうなのだろう。

それにしても、一部のマイノリティ達による暇つぶし的な攻撃と思われていたものが、国をかけての一大プロジェクトである東京五輪のエンブレムを、遂に使用中止に追い込んでしまうとは、何とも恐ろしい時代になったものである。

 

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