社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

「エンゲル係数」という幻想について

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総務省によると、「エンゲル係数」が2014年度平均で24.3%に達し、1993年度以来、21年ぶりの高水準になったということです。

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合のことで、一般に、この値が高いほど生活水準が低いとされています。

古い話ですが、ドラマ「ひとつ屋根の下」で、江口洋介演じるあんちゃんが、兄弟たちに対して

「うちはなぁ、隣の前川さんちの犬よりエンジェル係数(エンゲル係数)が高いんだよ!」

と、家計の苦しさを自虐的に嘆いていましたね。

今回の高水準は、昨年春の消費増税後、家庭では節約志向が強まり、自動車や家電など耐久財への支出を減らした一方、節約しづらい食料品に関しては、その値上げも相まって、結果として家計における食費の割合が高まったことが原因です。

 

もはやエンゲル係数は無意味?

一方、生活水準の高低を見る指標として、既にエンゲル係数は有効ではなくなったと指摘する声もあります。

例えば、2013年度の都市別のエンゲル係数を見ると、最も低い都市は高松市、逆に最も高い都市は大阪市となっています。

「ぬう、さすがうどん県!安くて旨いうどんで、ほとんど三食まかなってしまう為に、食費が浮くに違いない!」

「くぅー、やっぱ食い倒れの街大阪は、食費がかさみまっさー!」

と、思いっきり偏見で納得してしまいそうになりますが、他の順位も確認してみると、全体的に地方都市はエンゲル係数が低く、大都市圏ではエンゲル係数が高くなっています。

都市圏においては、野菜などの生鮮食品の価格が高いため、エンゲル係数が高くなったとも考えられますが、都市圏は最低賃金や年収なども高い地域でもあり、相対的に平均すると生活水準は地方都市よりも高く、エンゲル係数は低くなるはずです。

 

新たな指標「情報通信係数」

このように、生活水準を見る指標として、エンゲル係数がさほど有効ではなくなった一方、新たな指標として、携帯代やインターネット費用などの「情報通信関係費」が、家計に占める割合(情報通信係数)を見るのが有効だとする声もあります。

つまり、食に対する指向は多様化し、他の消費を切り詰めてでも、食に関しては安全で美味しいものを食べたいとする家庭がある一方、お金はたんまりもっているけど、食事はカップラーメンで十分なんていう独身世帯もあります。

ところが、通信に関しては、スマホが無いと一日も我慢出来ない、一日でもネット障害があったら何をしていいかわからない、といった人たちが増え、現代において、より必需品という性質が強いからということのようです。

実際に、2013年度のデータで見ても、家計の中で通信費が占める割合が最も低い都市は東京都区部などの大都市圏で、逆に最も高い都市は高知市などの地方都市となっています。

しかしながら、これだけ消費生活が多様化した現代において、何か一つの指標で生活水準を評価するということ自体に無理がありそうですね。

 

ところで、我が家のエンゲル係数や通信係数は、

うーん。隣の前川さんちの犬と同じぐらいか。。。(泣)

 

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