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社労士による時事ネタコラム

奈良の社会保険労務士事務所「よしだ経営労務管理事務所」の代表です。 このブログは、社会保険労務士および集客コンサルタントの立場から、日々のニュースで取り上げられた労働、雇用問題や法律についての解説をしたり、一般人としての立場から駄文を書いたりするコラムです。

福井地裁のもらい事故判決。ご批判を受けたので詳しく考察しました。

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昨日、福井地裁のもらい事故に関する判決がトンデモ過ぎるという記事を投稿しました。

その記事を読んで下さった方から、はてなブックマークのコメント欄で

『社労士ってこの程度なの?と思われかねない残念な論評。』

という厳しいご批判を頂きました。

「ほんとうにごめんなさい。いつもこんな、読んでも読まなくても一緒だけど、どちらかっていうと読まない方がマシっていう駄文ばかり投稿しているんです。ごめんなさい、ごめんなさい」

と生まれて来たことを後悔しつつも、社労士がみんなこんな馬鹿ばっかりだと勘違いされると、他の先生方にも迷惑がかかる!ということで

「僕への激励だと思って頑張ります!」

と、このコメントを下さった方に「あっぱれ!」をもらう為に、もう少し突っ込んで今回のこの判決について考察してみたいと思います。

 

背景にあるのは自賠責法

まず、今回なぜ、このような判決を下す必要があったのか、についてですが、

今回この事件で、事故を引き起こした側について任意保険はもちろん適用されませんね。じゃあ、残された遺族や、運転していた人物のケガなどへの保証はどこからも出ないのかというと、普通であれば、ぶつけられた側の任意保険や自賠責保険から支払われることになります。

ただ今回の場合、普通に考えると両者の過失割合は100:0で、ぶつけられた側に過失はなさそうですよね。

そうすると、もちろん任意保険の保険会社は

「こちら側に過失はないので保険金は払えません」

となります。

また、自賠責保険についてですが、これは基本的に、事故でケガをしたり、死亡してしまった側の救済を目的にしているものですので、よっぽどのことがない限り、死亡してしまった側の遺族に対して、ぶつけられた側の自賠責から支払われることになります。

ただ、これについても、ぶつけられた側に少しでも過失があった場合の話で、完全に100:0で相手が悪い場合は支払われません。

なお、今回のセンターラインのオーバーについてですが、ほとんどのケースで過失責任は100:0となります。ただ過去の例において、ぶつけられた側に過失が認められたケースもあります。例えば、センターオーバーした側の車が、しばらく走行してから衝突したようなケースです。この場合、ぶつけられた側にもわずかに注意を払えば事故を回避できた可能性があったと認定され、 センターオーバーした側に自賠責保険が支払われた事例があります。

ここで、今回の事件の詳細を見てみると、ぶつけられた側の前にも2台車がいて、その2台はハンドルを操作して事故を回避し,3台目が衝突したということです。ぶつけられた側の運転手は、左方の歩行者に気をとられていて発見が遅れ,歩行者を追い越したあとも左方を見ており,センターオーバー車の発見が遅れた。ということのようです。

おそらくこういった状況から、過去の例と照らし合わせて、今回の裁判官も

「あなたにも責任がないとは言えない」

という判決を下したのだと思います。

 

やっぱり納得出来ない

しかしですよ、『左方の歩行者に気をとられていて』という点ですが、その歩行者が、すんごいナイスバディで、しかも超ミニスカートで歩いていて、鼻の下伸ばして見とれていたというならともかく、歩いている歩行者をよける為に、そちらに注意を向けていたということなら、これを問題視するのはおかしいと思うんです。

歩行者に注意を向けないで、歩行者をはねてしまったら、それこそお縄頂戴なわけですから。

歩いている歩行者をよける為に、確かにそちらに注意を向けていた。ただし、センターラインもオーバーしていないし、制限速度も守っている。にも関わらず、対向車が突っ込んできて事故になった。

ほら、あなたも悪いよね、だって歩行者に気を取られてたじゃん。

って、やっぱり納得できないと思うんですよ。

 

遺族救済の名判決?

一方、この判決結果について、死亡した側の遺族救済という点では良い判決だという意見もあります。

つまり、ぶつけられた側にも非があったとすることで、遺族側には自賠責からお金がおりますから。

確かに、自賠責自体は何度使っても保険料が上がる訳ではないので、ぶつけられた側も特に損害はないし、遺族側もお金がもらえて両方ハッピーとも思えます。

しかし、ぶつけられた側に非があるということは、こちらの任意保険に対しても賠償金の支払い義務が生じるということです。

ネットなどで、他の方も言われていますが、このように一見、被害者側に全く落ち度がないと思われる事案でも、任意保険の支払いが生じるということになると、任意保険の保険料は上がらざるを得ませんよね。

また、遺族側に賠償金がおりるようにするために、非がない被害者側に

「あんたも悪くないとは言えないでしょ」

と言わざるを得ないというのは、やはり自賠責制度自体に問題があるように思えます。

悪くないのに、悪いと言われたら人間誰でも感情的になってしまいますからね。

相手のある事故で、ケガをしたり、死亡したりした場合、過失に関係なく相手側の自賠責から支払いされるとなればスッキリするんでしょうけど、まあそれはそれで、色々と問題が生じてきそうですしね。

 

最初、ニュースを見たときは単純にトンデモ判決だと思いましたが、詳しく見てみるとなかなか複雑な問題を孕んだ興味深い判決だと思い直しました。

批判的なコメントを頂くのも悪いことばかりではないですね。

(でも、なるべく容赦して頂きたいですが。。。ガラスハートなもので。。。)

 

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