【1分でわかる】ウクライナ情勢。その問題をわかりやすく解説
連日、報道されるウクライナ周辺をめぐる内戦問題。
しかし、状況が複雑すぎてよくわからないという方も多いと思います。
そこで、ウクライナをめぐる問題について簡単にわかりやすく解説します。
ウクライナ問題を会社に例えてみます。
「ウクライナ化学」は揺れていた。
世間から見れば、なんの変哲もない町工場に過ぎないこの企業を巡り、世界的大企業「ロシア工業」と「アメリカEU産業」が激しく火花を散らしているのである。
まず、「ウクライナ化学」の複雑な事情について説明しよう。
ウクライナ化学は、ロシア工業との提携を望む「東山常務派」と、アメリカEU産業との提携を望む「西村専務派」とに大きく二分している。
東山常務は、もともとロシア工業から出向してきた人間であり、それがロシア工業との提携を望む理由である。
一方、西村専務とその派閥は以前、ロシア工業の担当者から、色々無茶な要求をされたり、突然取引きを止められた苦い経験があり、ロシア工業に対し、ある種の恨みをもっている。
なお、東山派の組織には優秀な技術者が多数在籍している一方、西村派の組織は数年前に大失敗したプロジェクト『チェルノブイリ』の負債を未だに抱えている。
このウクライナ化学、現在は独立しているが、ロシア工業の前身である「ソビエトグループ」に買収され子会社となっていた時期もあり、現在もロシア工業との繋がりが強い。ウクライナ化学の高い技術力はロシア工業の製品にも大きく貢献している。
ウクライナ化学は小さな町工場に過ぎないが、東山派に属する優秀な技術者や、他の追随を許さない高い技術力は、有名ビジネス誌で紹介されたこともある。
ロシア工業のライバルである、アメリカEU産業は、何としてもこれを手に入れたいと思った。
しかし、東山常務は親ロシア派であり、アメリカEU産業に寝返るとは思えない。そこで、ロシア工業に対して屈折した思いを抱える西村専務に近づいたのである。
「西村君、どうかね、ウクライナ化学と我々アメリカEU産業との技術提携について、前向きに検討してみてくれないかね。もちろん悪いようにはしないよ。」
これが現在の『東山派=親ロシア工業』、『西村派=親アメリカEU産業』という図式を作り出したのである。
西村専務の裏工作もあり、ウクライナ化学社長も一時はアメリカEU産業との提携に前向きな姿勢を見せたものの、これに反発したロシア工業が、今まで格安でウクライナ化学に卸していたネジなどの部品価格を大幅に引き上げたため、ウクライナ化学の収益は急激に悪化。これに慌てた社長はアメリカEU産業との提携を撤回し、再びロシア工業との結びつきを強める方針に戻した。
一方、これに不満をもった西村派は、会社の業績悪化や経費の私的流用問題を理由に社長の退陣を要求。新たな社長として西村が就任する。
ますます「東山派」と「西村派」の対立が深まるウクライナ化学。
東山派はウクライナ化学から独立し、新たに東山化学を設立することを主張。しかし、ウクライナ化学としては、東山派に独立されてしまうと、自分たちに残るのは、チェルノブイリの負の遺産のみであり、先がないのは自明である。それだけは何としても阻止したい。
時を同じくして、東山派の技術者リーダーである栗宮(クリミア)の、ロシア工業へ移籍が決定する。この移動にはロシア工業と東山派による裏取引があったとして、ウクライナ化学とアメリカEU産業は強く反発する。
ロシア工業からの援助を受け、ますます独立の動きを強める東山派と、ウクライナ化学との対立はさらに深まり、社員同士の喧嘩や揉め事が絶えなくなる。
しかし、このような状態では会社経営どころではなく、ウクライナ化学、ロシア工業、アメリカEU産業にとってもメリットがない。
そこで、それぞれの代表が会合の場を持ち、一旦きちんと話し合って和解しないかということになったのだが・・・
現実のウクライナ問題
歴史と背景
ウクライナはEUと接する西側と、ロシア側に接する東側で大きく分かれています。
まず、西側には昔からの民族であるウクライナ系住民が多く住み、東側にはロシアからの移民が多く住んでいます。
過去、旧ポーランド王国の土地であった西側は、第一次世界大戦を経てソ連に占領されます。その際、占領に反発した住民は、ホロドモールというソ連による人口飢饉政策により食料を取り上げられ、その人口の約1/4が飢え死にさせられました。また第二次大戦中にも、西側にはソ連による激しい迫害が加えられました。
その後、ソ連崩壊にともないウクライナとして独立したものの、ロシアとの結びつきが強く、経済的にもロシアに強く依存していました。
ウクライナの東部は農産地として適しており、地下資源も豊かです。一方、西側にはチェルノブイリ原発があり、ウクライナの国家予算の実に1割が今でも事故処理に投入されています。
ウクライナはEU諸国とロシアに挟まれる位置にあり、軍事的にも重要な意味を持ちます。ウクライナをロシア経済圏から切り離したいアメリカとEUなどの欧米諸国は、ロシアに不満をもつ西側への支援と干渉を強めていきました。
2004年
大統領選挙で、親ロシア派のヤヌコヴィッチが勝利するものの、選挙違反行為があったとして、対立支持派がデモを行う。やり直し投票の結果、親欧米派のユシチェンコが勝利。(俗にいうオレンジ革命)
2005年〜
新政府は天然ガスの欧米諸国への市場開放を宣言。一方、旧ソ連諸国に国債相場の1/5程度で天然ガスを供給しているロシアは、それをヨーロッパに流すことに強く反発。ガスの値上げを決定。天然ガスの代金をウクライナが支払わなかったため、ウクライナへのガス供給を減らす。その結果、パイプライン下流のイタリアやスイスへのガス供給が不足。ドミノ式に問題が波及し、協議の末、ロシアが国債相場と旧ソ連価格の中間の値段で妥協することになったが、ウクライナの財政悪化は止まらなかった。
2010年
選挙により親ロシア派の政権が誕生。ロシアのプーチン大統領はウクライナに対する支援を発表。
2013年
親ロシア政策に不満を持つ、西側の親欧米派が首都キエフでのデモを起こす。デモは暴力化し、テロ活動に発展。
2014年
親欧米派によるデモ隊が政府機関と地域党本部を占拠。これにより大統領や閣僚は東側に逃避。親欧米派のトゥルチノフが大統領代行に。
今度は親ロシア派の東側がこれを非難。東部の独立を主張。
しかし、東部にだけ独立されると困るウクライナ政府と欧米諸国はこれに強く反発。
一方、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの重要拠点クリミア半島を掌握。欧米諸国はロシアによる軍事介入であると強く非難。ロシアに対する経済制裁を実施する。
クリミアのロシアへの編入を受け、他のウクライナの東部都市でも、続々と親ロシア派による、独立を望むデモが繰り広げられるようになる。
ウクライナ政府はこれを「テロ行為」とし、武力制圧を実施する。
これにより、親ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍による武力闘争が本格化する。
大統領としてポロシェンコが就任するが、親ロシア派武装勢力に対する武力制圧が引き続き行われる。
2015年
争いを解決するために、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4国の首脳会議により、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力の間に、停戦協定が結ばれるが、未だ問題は燻り続けている。
ロシアと欧米諸国のエゴのぶつかり合いにより、引き起こされたウクライナの内戦問題により、罪もない多くの命が奪われています。
一刻も早い問題解決を心より願います。
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