「マクロ経済スライド発動!!」ところで、マクロ経済スライドって何?
最近、新聞やニュースなどで、2015年の4月から「マクロ経済スライド」が発動されるため、2015年の年金受取額が実質的に目減りする、という記事をよく見かけます。
「マクロ経済スライド」の発動
「波動砲発射!!」的なかっこいい響きです。
少子高齢化に対応するため、年金の額が徐々に減らされる制度っていうのはなんとなくわかるけど、具体的にどういう制度なの、と思っておられる方も多いと思いますので、今日はマクロ経済スライドについて、わかりやすく解説します。
「マクロ経済スライド」とは
「マクロ経済スライド」は、さかのぼること2004年「100年後まで安心の年金制度」を掲げた年金制度改革の目玉として政府により導入されました。
今から100年後の経済の成長率や、物価上昇率、出生率などの年金制度に関係する具体的な未来のデータは誰にもわかりません。
そこで、経済状況の変化に合わせて自動的に年金額を調整する仕組みが「マクロ経済スライド」です。
通常、物価が上がれば、年金額も物価上昇率と同じだけ引き上げられるのが原則です。ただ、物価上昇率よりも、現役世代の賃金の上昇率が小さい場合、お年寄りの年金額だけを物価上昇率と同じだけ引き上げると、現役世代にとっては不公平です。
ですので、物価上昇率と過去3年度分の現役世代の平均賃金の上昇率を比較し、上昇率の小さい方に合わせて年金額を引き上げるというのが今までのやり方でした。
ですが、この方法のままでは、急速に進む少子高齢化に対応しきれなくなりました。そこで、年金額の上昇をゆるやかにするため、上記で算出した年金額の引き上げ率より、スライド調整率として0.9%を差し引く仕組みが「マクロ経済スライド」です。
今年、初めての発動。年金の増加率は0.9%に抑制
今回、2014年度の物価上昇率は2.7%で、現役世代の過去3年度分の賃金の上昇率は2.3%でした。従来どおりであれば、上昇率の小さい賃金の上昇分にあわせて、年金額も前年比2.3%増となるところ、「マクロ経済スライド」の発動により、2.3%よりスライド調整率の0.9%を差し引いた1.4%増となります。
さらに、本来であれば2007年より実施予定であった「マクロ経済スライド」ですが、物価下落時には適用しないという取り決めがあったため、これまで一度も適用されることがありませんでした。そこで、本来であれば減らすはずだった分を調整するために、今年はさらに0.5%引き下げられ、2015年の最終的な年金の増加額は、前年比0.9%と決定しました。
ちなみに、スライド調整率の0.9%という数字ですが、これは公的年金の被保険者の減少率と平均余命の伸び率により決定され、2025年までは0.9%と見込まれています。
本当の意味の「相互扶助」が必要
現在、既に年金を受け取っておられる高齢者の方々にとっては、もらえる年金の額が少なくなり「痛み」を伴いますが、従来制度のままでは、世界最速で高齢化が進む日本の公的年金制度は立ち居かなくなります。
また、今後の年金制度の支え手である若年層の年金制度に対する不信感や不満もわかります。
しかし、若者と高齢者が双方を思いやり感謝し、互いに「痛み」を分かち合うことが重要です。そういった本当の意味での「相互扶助」が実現できれば、この国の未来も明るいかもしれません。
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