政府が中小企業向け後継者バンクを設立。しかし前途は多難。
地方創生の切り札として、政府が設立
政府が、後継者が不足している中小企業に人材を供給するため「後継者バンク」なるものを設立するとのこと。
跡継ぎが見つからない事業主と、起業したいけど場所もお金もないといった人との「お見合い」の仲介役を、この後継者バンクが行うようです。
地方創生を掲げている政府にとって、地方の中小企業の活性化は大きな課題ですので、高齢化が進む中小企業の経営者にこの制度を利用してもらい、経営者の世代交替による、地方産業の活性化や新たな雇用の創出に繋ぎたい狙いでしょう。
国内企業のうち、半数以上が後継者不在
帝国データバンク調べによると、社長が60歳代の国内企業のうち、53.9%は後継者不在であり、売上規模が「1億円未満」の小規模企業においては、76.6%が後継者不在に悩んでいることがわかりました。
このような深刻な中小企業の後継者不足問題が、今回の後継者バンクの設立につながったようです。
静岡県では、2014年4月より既に実施開始
実はこの制度、全国に先駆けて、静岡県で2014年の4月より既に始まっています。
現在、40人程度の創業希望者と、30社程度の後継者不在に悩む企業が登録していますが、それぞれの思惑や条件などで折り合いがつかず、この「後継者バンク」から事業継承が実現した例は、今のところないようです。
アイデアはいいが、前途は多難か
経営者からしてみれば、自分が今まで守り、育て上げた企業と、従業員を託すわけですから、そう簡単に後継者を決めるわけにはいきません。
また、創業希望者についても玉石混合で、能力もやる気もある人がいる一方、単に、何となく起業に憧れはあるけど、お金も場所もないし、手っ取り早く誰かの後釜につければ、といった甘い考えの人も少なからず存在するでしょう。
さらに、既にその企業で働いている従業員にしても、突然どこからともなくやってきた創業希望者を、急に社長として迎え入れることに抵抗もあるでしょう。
事業継承が実現されるためには、創業希望者が、後継者となりたい企業で数年従業員として働き、会社が抱える問題点を把握したり、他の従業員との信頼関係を築く必要があるでしょうが、果たしてそこまでの情熱をもった希望者がいるのか?
また、社員として数年働いてもらっているうちに、「やはり、こいつには会社は任せられない」といったことにならないか。
なかなか、この「後継者バンク」の前途は多難と思わざるを得ません。
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